もう迷わない、外国人との立食パーティーでの立ち居振る舞いのマナー5つのポイント

はじめに

海外に駐在していると、会社の同僚や取引先の方の自宅に招待されたり、レセプションや立食パーティーに招待される機会も多いかと思います。

日本で生まれ、育ち、生活していると、多くの方にとってレセプションや立食パーティーなど縁のない世界で、仮に参加する機会があったとしても、結婚式の二次会や学生時代の卒業パーティー程度というのがほとんどではないでしょうか。

かくいう私も、まさにそのタイプで、海外勤務が始まった途端に、欧米人にとっては生活の一部と言ってもいいくらい身近なパーティーの世界に飛び込み参加する羽目になりました。

それから長年に渡りトライアンドエラーを繰り返し、最近ではようやくレセプションやパーティーでの身のこなし方のイロハを理解できた気がします。

ここでは私と同じような悩みを抱えていらっしゃるであろう、海外駐在初心者の方を主な読者に見立てて、私の気づきの一部をお伝えできればと思います。

自宅での会食やホームパーティーでの工夫については、まったく別のロジックがありますので、後日お話ししたいと思います。

なお、欧米社会でのレセプションへの参加を前提に記事を書いていますが、おそらくは日本で開催されるビジネス目的の立食パーティーでも同じように振舞えば、及第点には達すると思います。日本での振る舞いに迷われている方も是非ご参考にしてみてください。

ここだけ抑えれば大丈夫、5つのポイント

主催者へのあいさつ

(到着時)

パーティー参加の最も重要な目的は、招待してくれた主催者に対して、実際に出席して招待のお礼の気持ちを伝えることです。

もちろん、だからといって奇をてらう必要は全くありません。

パーティー会場に到着して入場する際のレシービングの際に、感謝の気持ちをしっかり伝えることと、退場するときに、主催者に一言声をかけること、この二つをしっかり行う、それだけで十分です。

自分が参加したことを覚えてもらおうと、レシービングラインで長々話す方がいますが、主催者側からすると、迷惑なだけです。

レシービングの際には、開場時間前後に殺到する来客をいかに効率的に会場に入れるのか、どのタイミングで主催者挨拶に移行するかが主催者側の最大の関心事項になっているはずです。

余計なことは話さず、礼儀正しく挨拶し、端的に感謝の気持ちを伝えるこれだけで十分です。

お土産を持参される方もいらっしゃいますが、レシービングラインでお土産を受け取っても、主催者としてはそれをさばくのにさらに時間を取られます。

慣れている主催者であれば、秘書なりが横に立ちお土産を受け取りうまく流していきますが、そうでないと足元に山積みになったりして、見た目にもよろしくありません。

レシービングラインが混雑していると、そこに並ばずに直接会場に入ろうとする日本人をたまに見かけますが、これは絶対にやめましょう。

主催者に対して失礼ということもありますが、冒頭の挨拶が一番大切なので、それを省いてしまっては、せっかく時間を割いてパーティーに参加した意味がなくなってしまいます。

逆に本当に時間がない場合など、レシービングの際に主催者に挨拶だけして、回れ右、会場を後にしても全く問題ないと思います。

(退場時)

主催者への帰りの挨拶、状況が許せばこれもぜひ行いましょう。

忙しく接客している主催者への気遣いから帰りの挨拶を省略される方もいますが、遠慮する必要は全くありません。

主催者からすれば、だれがいつ帰ったのかは気になるポイントでもありますし、パーティーの終わりのタイミングを計るための貴重な情報でもあります。

会話中の主催者に割って入るのは勇気が入りますが、ここは遠慮せずに挨拶しましょう。

声をかけにくいようであれば、会話の輪の外側で主催者から見える位置に待機していれば、主催者自らが声をかけてくると思います。

逆に、ここで招待客に気を配れない主催者であれば、まあその程度の人物だと値踏みすることもできます。

もちろん、ここでも場を奪い長々と話す必要はありません。招待してくれたことへの感謝の気持ちと、提供された食事か、催し物が実施されていたら、それへの感想を一言添えれば、それで十分です。

ごく短い別れの挨拶の後は、他の客に場を譲り、さっと退場されればよろしいかと思います。

立食パーティーの規模にもよりますが、100名を超えるようなパーティーでは、主催者は接客に忙殺され、挨拶をしたとしても、だれが来場していたのかを明確に覚えていない可能性はあります。

ただ、不思議なもので、自分が主催してみるとよく分かりますが、会場に来場しなかった人だけは不思議とよく覚えています(また、誰が来たのかではなく、誰が来なかったのかは、事後に必ず出席者リストで確認されます。)

つまり、パーティー参加の前後で一言挨拶をすることによって、来訪したことは記憶に残らなくとも、主催者にいなかったなという印象を残さず、また、リストで事後的に出席が確認されることにより、最大の目的は達成されることになります。

参加者への挨拶、会話

皆さんが一番悩まれ、また、立食パーティーへの参加が気が進まない理由は、パーティー参加者との会話ではないでしょうか。

私は子供のころから人づきあいが苦手だったこともあり、今でもパーティー会場が近づくと胃がキリキリと痛むほどに、この会場での他の参加者との会話が苦手です。

ものの本を読むと、パーティーに参加したら、積極的に参加者と会話しましょうと書かれていることもあり、私も若いころは必死になって、知らない人に突撃し、話しかけたりしていました。

それがまたさらなる苦痛になってという悪循環に陥っていたのですが、ある日、ひらめきがあり考え方が180度変わった結果、とても気楽にパーティーへ参加できるようになりました。

それまではパーティー会場とは「人脈を広げる(知らない人と知り合う)場」だと信じ込んでいたのですが、そうではなく「人脈を確認する(知り合いとの関係を確認する)場」だと認識を変えたのです。

かつ、これをある種のゲームとして認識することにより、パーティーへの参加もだいぶ苦痛でなくなりましたし、会場から早々と退場することにも全く後ろめたさを感じなくなりました。

自分に課すルールはたった一つ。

パーティー会場では、主催者への挨拶に加えて、知り合いの全員に一言挨拶をする、です。そして、これが終わったらすぐに帰ってよし、としました。

つまり、知り合いでない人のことは全員無視する、ということです。

まるでタイムレースを楽しむように、今日は何十分で知り合い挨拶ゲームを終了することができるのかを計測することにより、なるべく短時間に全員を回る技術を磨くことを自分に課したりしたものです。

そうすると、声をかけるのを躊躇する気持ちも薄らぎ、効率よく知り合い周りをすることができました。

タイムトライアルなので、躊躇している余裕はありません。パッと話しかけ、定型的な会話をしたら一丁上がり、まさにゲーム感覚です。

パーティー会場では、自分以外の皆がさも楽しそうに素晴らしい社交性を発揮して会話を楽しんでいるかのような錯覚に陥ることが多いです。

もちろん、社交の達人でコネクターとして、そのような役割を果たしている方も会場にはいます。

しかし、よく見てみれば、実は皆自分の同行者や知り合いとだけ話しているだけだというケースも圧倒的なのが現実です。

これがそう見えないのは、自分の気持ちが圧倒されているからで、ゲームにしてしまえば、この焦る気持ちも抑えることが可能となります。

騙されたと思って、ぜひこの方法を試してみてください。きっと社交パーティー参加が苦痛ではなくなるはずです。

新しい出会いは紹介ベースで

もちろん、新しい出会いを否定しているわけではありません。

知り合い周りをしていると、おのずと自分の知り合いが入っている会話の輪に入ることになり、そこには当然のことながら、自分と面識のない人も含まれることになります。

そうなると、知り合いが双方を紹介してくれる流れになりますので、知り合い挨拶ゲームのおまけとして、新しい出会いに恵まれることにもなります。

そしてこれは脈絡なく会場にいる人に声をかける場合と比較して、その後の人脈になる可能性が高いものとなります。

知人から紹介された人物は、少なくともその段階で第一段階目のスクリーニングがすんでいることになります。

どういうことかというと、変な人や怪しい人であれば、自分の信用にかかわるので第三者に対して紹介しようとは思わないので、結果的にある程度身元の明らかな人だけが紹介される人になります。

また、知り合いの知り合いであれば、同業者や、少なくとも将来的に仕事上の関わりが生じえる人物である可能性も高く、結果として、人脈とのして残りやすくなるという理屈です。

なお、上級者編になりますが、社交能力が高く、コネクターとしての役割を演じる能力がある方は、レセプションや立食パーティーの会場で、自分の知り合いと知り合いをつなげる役割を果たせば、両者から感謝されますし、それによりコネクターとしての経験値や人脈もさらに広がることになります。

私は残念ながら、どうやらその域に達するのは難しそうですが。。。

名刺交換など不要

上述のとおり、パーティーでの会話は基本的に知り合いとだけ行うというルールにすれば、会場で名刺交換をする必要はありません

そもそも、私は過去20年以上の渡り、主に欧米人が主催、出席する幾多のレセプションや立食パーティーに参加していますが、会場で名刺交換をしている人はほとんど見かけません。

逆に日本人が主体のレセプションに参加すると、会場のそこかしこで皆がお辞儀をしながら名刺交換にいそしんでいる姿を見て奇異に感じることがあるほどです。

お辞儀をして名刺を交換しているということは、その場が初対面ということです。これは上で述べた、紹介は知り合いベースという私の原則からもズレることになります。

なお、知り合いからの紹介を受けての人であれば、その場で携帯電話やメールアドレスを交換することで連絡手段は確保されますし、どうしても必要な場合には後日、メール等で肩書など詳細を伝えることで事足るかと思います。

知り合い周りの会話はテンプレートで十分

知り合い周りをする際の会話は、社交的な会話、すなわち、お互いの近況を訪ねたりとか、料理の話とか、一般的な話で十分かと思います。

知り合いと会話をする目的は、会話の内容を楽しむことでも、相手から何らかの情報を引き出すことでもなく、言葉を交わした機会を積み重ね、結果的に相手をして自分と親しい関係にある、もしくは打ち解けて話せそうだと錯覚させることにあるからです。

経験上、人間は何度も会う人には親近感を感じるようにできています。そして、それが自らが属する社会階層の一員であればなおさらです。

つまり、パーティーなどの公共性の高い場では、話した内容ではなく、会った回数で相手の意識に自分を刷り込むことになるので、浅い会話の頻度を上げることが親密感の醸成に最も効果があります。

安心してください。何度も繰り返し会っていれば、そのうちお互いに胸襟を開き自然と深い話もできるようになるものです(もちろん、語学力の範囲内でではありますが、ノンバーバールなコミュニケーションの部分でも結びつきが強くなります)。

そして、仕事の話やお互いのプライベートに深く踏み込んだ会話は、自宅に招待したり、レストランで食事を共にするなど、別に場所を移して続ければよいと思います。

その場で、いきなり仕事の話を始める方もいますが、パーティー会場には不特定多数の者がいますし、誰がどこで何を聞いているのかもわからないので、一般的には社交会話の域に留めることが望ましいかと思います。

特に配偶者も随伴してのパーティーの場合には、仕事の話を始めてしまうと配偶者にとっては退屈以外の何者でもありません。

繰り返しますが、仕事の話をするのが目的ではなく、パーティーの場を通じて、お互いの認識を高め、信頼貯金を殖やすことが唯一の目的ですから、その場の雰囲気に沿うような社交的な会話を一通りして、相手に自分の存在をインプットすればそれで十分です。

もし必要があれば、その場で、後日連絡するので個別のアポをお願いしたいと伝え、連絡することで十分です。

レセプション会場で、いきなり仕事の話を始める日本人の方が結構多いので、ちょっとくどいですが、詳しめに書いてみました。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

書き始めたら、私も力が入ってしまって、ずいぶんと長くなってしまいました。反省しています。

考え方を少し変えるだけで、苦痛の種の立食パーティーへの参加も、これだけ気楽なものになりえるのだということのエッセンスでも感じ取れていただけたら、嬉しいです。

他にもこういうやり方や考え方もあるよ、というのがあれば、ぜひ私にも教えてください。

お互いのパーティーライフをよりストレスレスなものとするように知恵を出し合いましょう。