社交の場で5分間英語で会話をもたせるための3つのテクニック

はじめに

コロナの影響で最近はオンライン会議が当たり前になったので、対面での打ち合わせに参加して外国語での社交会話に悩まされることも減りました。

とはいえ、欧米人が参加する会合に参加した休憩時間や、社交的なレセプションの場などにおいて、知らない人、もしくはそれほど親しくはない人と会話をする機会に悩まれている方も多いかと思います。

今回は、英語が苦手で、社交も得意でない私が、どうにかサバイバルしてきたテクニックを3つばかり共有できたらと思っています。

それぞれが直面する状況は大きく異なるでしょうし、果たしてどこまで再現性があるかは分かりませんが、同じような苦手意識をお持ちの方の少しでも役に立てばと思います。

3つのサバイバル技術

サバイバル技術と大上段に構えましたが、もちろん、そんな高度なテクニックではなくて、誰でもその気になれば用意できることです。

定型の会話を用意しておく

これは、多くの方が既に実践済みかもしれません。極めてオーソドックスな方法であり、正統派、王道な取り組みです。

人がよく知らない相手と短時間の間に交わす会話の内容は、古今東西を問わず極めて似通っています。

私は仕事柄、世界中の方々と表面的で社交的な会話をする機会が多いのですが、これまでの経験からしても10種類もないといってもよいかもしれません。

そこで、これらの質問事項についてあらかじめ、質問表現を暗記するとともに、自分の答えも丸暗記して用意しておくことで、10分程度の時間を乗り切ることはかなり簡単になります。

私がいつも使う質問は、次のとおりです。

〇どこに住んでいるのか。どこから来たのか。(※ここから近所の話や、出身国の話、その関連で自分が知っているネタへとつなぐ)

〇どんな仕事をしているのか。(職業が限定されている場合、)専門分野は何か。

〇日本を訪問したことはあるか。ある場合、どの都市を訪問したことがあるのか。日本のどんなところが印象に残っているか。

〇週末はどんな風に過ごしているのか。(※ここから趣味や旅行の話へ誘導)

〇【夏の場合】バカンスはどこにいくのか(どうだったか)。【冬の場合】クリスマス休暇(スキー休暇)はどこにいくのか(どうだったか)。

〇【レセプション会場の場合】(目の前にある料理や飲み物を話のきっかけにして、)○〇料理のおすすめのレストランはあるか。△△国に行ったら(相手の出身国)、まずは何を食べるのがいいか。(※どの国にも、その国を代表する料理があるので、それを誉めるながれに誘導)

そんな当たり前のことを、というくらい何の変哲もない内容です。

基本的に、自分は聞き役に徹して相手に話させることで、相手の満足感を引き出すことができますし、特に食いつきの良い話題を深堀することで、さらに相手の効用を高めることが可能です。

例えば、どこから来たのかと質問し、フランスのパリという答えが返ってきたら、〇年前に旅行で訪れたが、華の都は歴史もあり建築物も美しいとか、フランス料理は世界一美味しいとか、自分の知識の範囲内で相手が喜びそうな合いの手を入れれば、相手の方は気をよくしてその10倍は話してくれると思います。

また、ちょっと上級なテクニックになりますが、初対面ではない場合は、前回のやりとりから話を発展させると、相手の印象にも強く残りますし、相当好印象を与えること間違いなしです。

オウム返し作戦

相手がある程度の知り合いで、既に上記のような初対面導入会話をする余地がない場合や、相手も話下手で会話が盛り上がらないのに、比較的長時間その相手と話さざるを得ないような場合には、準備してあるネタが尽きてしまう可能性もあります。

そういう場合の会話時間引き延ばし技術の一つに、相手の話す内容をオウム返しのように繰り返すという方法を使うこともあります。

例えば、まずこちらから、どちらの国のご出身ですかと質問し、相手がフランス出身ですと返して来たら、「あなたはフランスのご出身なんですね」と相手の発言をそのままコピーして繰り返し、その上で次の質問(例えば、「フランスのどちらご出身ですか」)を続けます。

とにかく相手の発言を、まるでシャドーイングのように繰り返すことで、普通に会話するよりも時間を多く消費できますし、相手とのシンクロ度が高まり、なんとなくお互いを身近な存在だと錯覚しあうのにも役立つ気がします。

それに、これは半分冗談ですが、自分の英会話の練習にもなって一石三鳥です。

また、よくあるパターンは、相手の発言を繰り返した直後に、相手がその続きを話続けたりもします。そうすると、オウム返しは、いわゆる相槌の役割を果たしていることになり、次のテクニックとも重なりますが、相手に話させる、方法にもつながっていきます。

相手に話させる

この世の中、特に社交的な舞台に出てくるような人は、民族や国籍の別を問わずに話好きな方が多いと思うので、とにかく相手に気持ちよく話してもらい、時間を消費するのが合理的です。

こちらの意図とは関係なく、好き勝手にひたすら話し続ける方も多いですが、口数の少ない人もいるので、そういう場合にも相手に話させる、技も紹介します。

これは、相手が会話をしない緊張感に耐えられずに、何か話さざるを得ない状態へといざなうテクニックです。

こう書くと何かとてつもなく高度な技術が要求されそうに聞こえますが、やり方はいたって簡単です。

すなわち、自分の語彙力や知識で話すことができるところまで話して、行き詰ったら、その後は、「ウーーー」とか、「I mean………」とか、あいまいな発音状態を続けることで、相手がその中途半端な状態に耐えきれなくなり、勝手に言葉を補い会話を続けてくれます。

そうしたら、間髪を入れずに、その通りとか、まさに私が言いたかったのはそれだ、とか言って、その続きを相手に話させ、自分は合の手を入れることに専念するという方法です。

おわりに

以上、いかがだったでしょうか。

社交の場に慣れている方からしたら、何だそんなことか、そんなの日常的にやっているよという初歩的なことばかりだったかと思います。

また、そもそもコミュニケーション能力に長けていらっしゃる方であれば、こんなこと考えたこともないかも知れませんね。

語学力の面でも、コミュニケーション能力の面でも、その場を支配し、会話を独占する力のある方は、それを貫かれればよろしいかと思います。

私は残念ながら口下手な方ですし、何よりも人前に出ると緊張して上がってしまって、思っていることの数割しか伝えることができないタイプの人間です。

そんな私でも仕事上、人前に出たり、最低限の人づきあいをしなければいけなかったこともあり、そのような経験から体得したものをいくつか共有させていただきました。

少しでもお役に立てれば幸いです。

最後に、一言。

繰り返しになりますが、私の経験では、国籍や人種を問わず、社交の場に出てくるような人は、その多くが話好きであり、自分のことを聞いてもらうのが好きな人たちであると感じています。

そういう人たちは得てして、相手の話を聞くのはあまり得意ではないので、実は口下手で聞き手専門というのは、相手の効用を高め、自分の印象をよくするという意味では、悪くない立ち位置だと思います。

つまり、社交に積極的になれなかったり、うまくコミュニケーションできなかったりということをマイナス面ととらえるのではなく、むしろメリットと考えると、苦痛の軽減につながるかもしれませんね。