英会話を学ぶときに初心者で避けた方がよい、3つのポイント

はじめに

学校教育で英語はひととおり勉強して、辞書を使えばリーディングはどうにかなるけど、ヒアリングとスピーキングはまったく自信がない、そういう方が多いと思います。

私もまさにそうでした。

そこで思いつくのは、まずは英会話学校に通おう、ではないでしょうか。

もしくは、コロナ禍の今だったら、オンライン授業を受けようか、かもしれませんね。

英語が話せれば就職や昇進にも役に立つし、いずれにしても無駄にならないはず、そう考えて、学校に通う方や講座を受講される方も多いと思います。

ここでは、そんな悩みを抱える皆さんに、どうしたら効率よく、少なくとも遠回りせずに、英会話力をつけることができるのか、私の経験を共有できればと思います。

この後、やってはいけない3つのポイントについてお話ししますが、これはすべて私が実際に試みて、恥ずかしながら大失敗した事例ばかりです。

どれも貴重な時間と資金を費やして得られた気づきですので、ぜひ同じ過ちを犯さないように他山の石としていただければ嬉しいです。

やってはいけない3つのポイント

それでは、私の失敗の数々をさっそくご紹介しましょう。

マンツーマン授業を受けること

初学者はグループ学習が効果的

初学者が短期間で成果を上げようと考えて、つい手を出してしまいがちなのがマンツーマンの個人授業だと思います。

私もグループ授業なんて非効率、英語ネイティブの講師とマンツーマンで会話の練習をすればすぐに上達するはずと信じて、少ない予算の中からやりくりして、個人授業のコースに通いました。

もちろん、個人授業を受けて成果がないとは言いません。どんな形式であれ、一定時間勉強をするわけですから、必ず成果はあると思います。

ただ、費用対効果の観点から考えても、また、学習効果の面からも、少なくとも初期の段階では、より効果的な学習方法があると考えています。

それは、通常のグループ方式の授業に出ることです。

語学上達の近道は、人前で恥をかくことと、他人の間違いを間近で観察すること、この二つに勝るものはないと思います。

人前で、文法を間違えたり、発音の間違いを指摘されたり、言葉に詰まってドギマギしてしまったり、それらは決して心地よい経験ではありません。

というよりも、できれば避けたい恥ずかしい経験ですよね。

ただ、人間の記憶に強く鮮明に残るのは、そうやって恥をかいた経験でもあります。

マンツーマン授業に決定的に欠けているのは、まさにこの部分。先生や講師の前では間違えても恥ずかしくないんです。

しかも、相手が先生だと思うと、リラックスして堂々と楽しく話すことさえできてしまいます。

特に、講師が英語ネイティブだったりすると、相手は母国語、こちらは外国語という意識もあって、全然緊張しないということになってしまいがちです。

加えて、なまじ外国人相手に外国語を話すと、すごく勉強した気になってしまう点も問題です。

これはこれで貴重な経験ですし、一つの学習方法なのですが、脳への刺激、記憶への印象の残り方という観点からは格段の違いが生まれるように思います。

他の人の間違える姿を見るのも、とてもよい刺激になります。特に、他の生徒も日本人の場合には、きっと同じような語彙選択や発音上の課題を抱えているはずです。

自分の話すのを録音することでも代用できますが、人が話して間違えているのを見ると、それも強く記憶に残り、自分の学習に影響を与えます。

ただ、いくらグループがよいといっても、10人を超えるような人数のクラスだと、発言機会が限定されてしまいます。

私の経験からすると、自分を含めて3、4人のクラスがバランス的にも一番良いように思います。

マンツーマン授業の使い方

繰り返しますが、もちろん、私はマンツーマンの個人授業が意味がないとか、ダメだと言っているのでは全くありません。

投入費用は高くなりますが、個人授業も使い方を間違えなければ、能力を高める上でとても有益な投資となります。

ただ、初歩的な英会話を勉強する場としては、より安価なグループ授業の方が費用対効果が圧倒的に高いと言っているに過ぎません。

では、マンツーマン授業はどんな使い方で効果を生み出すのでしょうか。

私は、プレゼンの練習に個人授業を使っていました。個人授業のコマは通常45―50分程度かと思います。それを二つに分割して、前半をプレゼン、後半を質疑応答とすると、ネイティブスピーカーを使った効果的な練習が可能となります。

20分のプレゼンを準備するのは、1時間弱の個人授業に出席するより何倍もの負担がかかる作業です。

しかし、これをしっかり準備することで、個人授業への投資効果が相当高まることになります。

もしくは、冒頭数分間、あるテーマについて簡単に話した後、ひたすら嵐のような質疑に対応すると言うのもいいかもしれません。特に、ある回答に対して、さらに突っ込んだ質問してもらうとか、応答に窮するような厳しい質問をしてもらうとさらに効果的です。

そして、こういうシナリオを設定できない即興のやり取りの相手としては、ネイティブはとても適任だと思います。

また、自分の好みにアレンジ可能なマンツーマン、個人事業の特性を最大限に引き出すことが可能となります。

質疑応答の後半は間違った表現や文法の指摘を受けたり、正しいフレーズを繰り返して練習するのも効果的かも知れませんね。

意味もなく聞き流すこと

「スピードラーニング」という有名な聞き流し英語教材がありましたが、数か月前にサービスを終了しましたね。

それ以外でも、○○時間聞き流すだけで英語が話せるようになります、という広告をよく目にしますが、たぶん、聞き流しても永遠に上達しないと思います。

むしろ、意味不明な音の連続を聞き続けることにより、英語嫌いを助長してしまうかもしれません。

特に成人してからの外国語学習においては、幼児が言語を学ぶのと同じ仕組みで勉強しても効果は得られないというのは、巷でもよく言われることかと思います。

私は英語をシャワーのように浴びればヒアリング力がアップすると思い込み、意味も分からないまま音声教材を聞き続けたことがありますが、全く上達しませんでした。

まあ、意味が分からない音の連続を聞き続けると、脳が拒絶反応を引き起こすのか、すぐに睡眠に誘導され、睡眠導入装置としては、とても役に立ちましたが。。。

話がそれました。この説明だと、誤解を与えてしまいますね。

正確に言うと、自分のレベルにあった音声素材を浴びるように聞くならば、おそらくヒアリング力の向上に大きく結びつくと思います。

では、どうやって自分に合うレベルを確認するのかですが、直感的には、音声をテキストに落としたときに、辞書を使わなくても大凡の内容が理解できる程度、すなわち、6-7割方の語彙がカバーされているような音声素材であれば、それを繰り返し聞くことでヒアリング力を大きく伸ばすことができるように思います。

ただ、世の中に流布している○○時間の音源は、結構内容的に難しいものが多い印象で、それの7割の語彙をもし既に獲得できているのだとしたら、その人は既に相当英語ができる方ということになるのかなとも思います。

つまり教材を選ぶコツとしては、これって、ちょっと自分には簡単すぎるのじゃないかと思ってしまうくらい簡単なテキストの音声素材を繰り返し聞き、最終的には暗唱できるくらいまでに高めれば、確実にヒアリング力のアップにつながるのではないでしょうか。

また、暗唱できるくらいに達すれば、聞き取れたフレーズを多くを口頭で再現することも可能になっていると思いますので、スピーキング力の向上にも役立つと思います。

ライティング、ヒアリング、スピーキングの関係については、別の記事でもう少し深堀したいと考えています。

ネイティブに発音を学ぶこと

ネイティブの英語講師から正しい発音を学ぶことは、簡単そうに見えてとても難しいことだというのが、経験に根ざした実感です。

ほとんど至難の業と言っていいかも知れません。

自分が日本語教師になることを想像すると分かりやすいのですが、皆さんは正しい日本語の発音を教えることができるでしょうか。

結論から言うと、日本語の発音を科学的に勉強していないと、正しく教えることは不可能です。少なくとも私にはできません。

もちろん、正しい日本語の発音を生徒の前で示すことはできますし、生徒に対し、それをオウムのように繰り返させ、なんとなく同じような発音をしたら誉めることは可能です。

ただ、そのような教え方では全く再現性がなく、科学的でもありません。その場で発音できるようになった気がするだけです。お互いに。

生徒の側の耳がよければ、とらえた音を試行錯誤の末、自らの口の中で再現できるようになるかもしれませんが、それは少数派、多くの生徒の発音はそれらしいものになって終わり、徐々にズレていくと思います。

英語を学ぶ日本人の生徒にも、この全く同じ現象が多発しています。

にもかかわらず、日本で英語を教える英語ネイティブのたぶん大多数が、英語の発音を教える訓練を受けていないし、そもそも発声の仕組みも理解していないのではないでしょうか。

そこで日本人の前で正しい発音をしてみせ、私たちはそれをなんとなく再現しということを繰り返し、結局正しい音を生徒の脳が捉えることもないままとなります。

正しい音が捉えられないということは、正しくヒアリングできないことにつながり、正しく聞き取れない人は、正しく発音、つまり正しく話すことができないことになります。

こう書くと、「発音が悪くても、話す中身が重要であり、内容がしっかりしていれば、相手に通じるし、敬意を払われるはず」との反論があるかもしれません。

これは事実です。学術研究の成果発表や厳しい国際交渉の場などで、日本人の研究者や実務家がかなり怪しい発音のジャパニーズイングリッシュで発表・主張し、その内容の素晴らしさから称賛を浴びたシーンに私も何度も遭遇しました。

ただ、これはある程度専門性の高い内容について、聞く側に予備知識があることや、発言する側に長年の研鑽に裏付けされた深い洞察、思考がある場合に限られます。

自分の日本語会話シーンを思い出していただければ明白ですが、私たちは、会話するときに、相手の言葉を単語ごと、音節ごとに注意深く聞いているわけではなく、脳内にある膨大な会話パターンを無意識の前提としつつ、音のリズムや流れで話を聞いています。

つまり、話の出だしからその後の流れを予想しながら話を聞いて、脳内で同時に理解し、自分の発言を選択しているように思うのです。

つまり、リズムやテンポが何よりも重要であり、これが狂ってしまうと、相手の話を理解するスピードが急速に低下してしまいます。自分が日本で外国人と話すとき、相手の話すたどたどしい日本語を一文字ずつ注意深く聞くことになり、反応スピードが遅れるのは、まさにこれが原因かと思います。

相手にストレスを感じさせずに会話をスムーズにすることで、結果的にコミュニケーションがうまくいく、そのためには発音は何よりも重要で、であれば、しっかりと学ぶ必要があるということかと思います。

最後に一言。

しかし、じゃあ、日本にいて正しい発音を学ぶにはどうしたらいいのでしょうか。

実はこれについての答えがないんです。今調べていますので、少々お待ちください。

実は、私は、アルファベット言語の正しい発音方法をフランス語学校で学びました。フランス語は英語以上に母音が多く、子音との関係も複雑なので、そこで学んだルールを英語にも適用して、英語の正しい発音に努めています。

そんな訳で、英語の正しい発音を日本で学ぶにはどうすべきか直接経験していないので、調査中です。

いずれ、フランス語の正しい発音の仕方とともに共有させていただきますね。

まとめ

それでは、今日のお話を簡単にまとめてみます。

(1)初心者は少人数のグループレッスンを受講するのが一番合理的。

(2)ヒアリング用の音声素材は、6-7割の語彙があるものを聞くのが効果的。

(3)発音はネイティブに習うのではなく、訓練を受けた日本人に学ぶのが一番よい。

いかがでしたでしょうか。少しでもお役に立てると嬉しいです。