「過去問を征する者は、試験を征する。」、これが英語試験対策の鉄則です。

はじめに

英語を含む外国語にかかわらず、受験や試験対策と言えば、過去問を解くというのが一般的な対策かと思います。

こんな世間の超常識があるにもかかわらず、私は長い間、過去問を通じた試験対策を軽んじてきました。

理由はいたって簡単。

過去に出題された問題は、もう二度と、少なくともしばらくの間は、出題されないからです。

出題されない問を解く暇があったら、出題されるかもしれない、想定問を解く方が100倍有益だ、そんな風に信じ込んでいました。

もちろん、今では、このあまりに表層的な思い込みを激しく悔やんでいます。

せめて大学受験の前に、過去問こそ試験対策の宝庫であるという当たり前の事実に気づいてさえいたら、もう少し有効な受験対策が取れたのにと、悔やんでも悔やみきれません。

私のような間抜けは少数派かも知れませんが、皆さんが同じ轍を踏まないように、過去問の重要性や、過去問を解くときの注意点など、自分の気づきを共有できたらと思っています。

過去問の重要性

受験対策一般を論じても焦点がぼやけてしまうので、ここでは、英語の検定試験、特に、TOEICと英検1級を念頭に話をします。

TOEICは時間との勝負、英検1級は語彙力との勝負、と力を入れるべき点は異なりますが、いずれの試験も過去問をしっかりと研究するだけで、スコアの向上に大きく貢献すること間違いなしです。

※ここでTOEICの過去問とは、正確を期すと、一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会が出版している公式TOEIC問題集のことです。

出題形式や意図を理解することができる。

TOEICにせよ、英検にせよ、英語の検定試験である以上、それらの試験が測ろうとしている能力や、評価しようとしている英語力の特徴が必ずあります。

もちろんこれは、試験制度を説明したパンフレットやHPの情報、学校での説明などでも理解することは可能だと思います。

でも、実際に過去問を解いてみる以上に確実な方法はありません。

出題形式や出題意図を正しく理解することで、無駄な勉強がなくなり、出題者の意図によりフォーカスした、スコアアップにより直結した学習を行うことが可能となります。

例えば、TOEIC L&Rテストを受験するために、英作文の勉強をしても直接的な効果は期待できません。

また、英検1級の勉強をするために、TOEICの語彙を勉強しても、スコアアップには結び付きません。

もちろん、以上は極端な例で、TOEICや英検を受験しようとする人で、こんな的外れな受験対策をする方はいないでしょう。

ただ、合格することから逆算して、いかに合理的に無駄なく勉強するかという点で、出題形式や意図を正しく理解することは極めて大切だと思います。

受験する上での、自分の強みや弱点を理解できる。

過去問と解くと、自分の弱点が恐ろしいくらい白日の下に晒されます。

語彙力に難のある私の事例で説明すると、TOEICでは最後数件の読解問題は必ず時間切れになり、最後の数十秒で適当にマーキングすることになります。

英検だと、最初のリーディングで短文の語句や空所補充を通じて語彙力を問う問題はまさにボロボロ、25問中半分取れたら奇跡といった体たらくです。

こういった現実を突きつけられるのは、とても辛いことですが、弱点を知ることで、どのような勉強をすればスコアアップを図れるのかが明確になります。

既に得意な分野のスコアを伸ばすのは至難の業です。他方、弱点を伸ばすことは勉強方法を間違えなければそれほど難しいことではありません。

伸びしろも大きいことが多く、むしろ最も効率よくスコアアップを図れる部分だとも言えます。

本番での反応速度が速くなる。

過去問を解いて、試験の特徴をつかんでおくことで、本番での反応速度は確実に向上します。

そしてこれは、限られた時間の中でいかに効率よく回答をしていくのかという能力が問われる検定試験においては、極めて重要な意味を持つことになります。

例えば、仮に、1問あたり1秒を短縮することができれば、10問で10秒稼げます。2秒なら、20秒、3秒なら、30秒です。

こういった反応速度の短縮化作業は、特にTOEICの試験対策として大きな効果を生むことになるでしょう。

過去問を解くときの注意点

このように過去問の徹底分析は、よいことばかりと言えます。

ただ、どうせ取り組むのであれば、効果を最大化したいですよね。

そこで、より効果的に過去問対策を行う上での気づきを、以下にまとめてみました。

本番と同じ環境で問を解く。

ターゲットとして見据えるのは、あくまでも本番でのパフォーマンスです。

そこで、私が過去問を解く際は、可能な限り本番と同じ環境に身を置いて取り組んでいました。

試験時間を順守するのは当然です。

それに加えて、試験開始時間をおおよそ本番と合わせることや、机の上の雰囲気を真似すること、服装も試験会場に赴くようなものを身に着けるなど、徹底的にディーテールにこだわりました。

たかが過去問、されど過去問です。

自分のテンションをいかに本番に近づけることができるのかを考えながら、過去問を解くことで多くの気づきを得られると思います。

必ず答え合わせをして、強みや弱点を確認する。

答え合わせは必ず行いましょう。

そして、不正解の設問が何だったのか、どのような種類の問に対する不正解率が高いのかを徹底的に分析することが重要です。

回答の出来が悪かった時には、これは決して楽しい作業ではありません。

むしろ、精神的な苦痛すら感じる辛い作業になります。

しかし、ここでつらい現実から目を背けずに、自分の失敗としっかり向き合い、見つめあうことで、少しずつ合格に向けた足場が作られていくのだと信じています。

真剣に解いた過去問や本番での実問で不正解だったものは、不思議なものでよく記憶に残っています。

さすがに同じ試験で同じ問に二度出くわすことはありませんが、別の試験で似たような表現に遭遇したり、仕事で英語を使っているときに、この表現はあの時のと、ハッと気が付く瞬間があります。

これは、広い意味での自分の中の英語の積み上げに大きく貢献していることになるのではないでしょうか。

間違えた問について、なぜ間違えたのかをしっかり理解する。

過去問を解いて、成果にを導き出せずに間違えること自体は、全く問題ありません。

仮に問題があるとすれば、間違えたことを真正面からとらえないことや、どうして間違えたのかを理解しないままに放置すること、これらの方が、試験対策、より広く英語学習という観点からははるかに大きな障害となります。

特に、どうして間違えたのかの原因究明はしっかりすることが重要です。

単に単語や熟語を知らなかっただけ(語彙力の不足)なのか、正確に文意を読み取れなかった(文法力の不足)のか、そもそも書いてあることが理解できなかった(理解力の不足)のか、により、その後にすべきことが大きく変わります。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。」 とは、心形刀流・松浦静山の『常静子剣談』の一文ですが、負けた時には必ず理に適わない原因があることを示しています。

どうして間違えたのかをしっかり振り返ることで、記憶への定着が大きく促進されます。

そんな時間があったら、別の問を一問でも多く解いた方が合理的と思われるかもしれませんが、まずは騙されたと思って、一歩立ち止まり、原因究明に取り組んでみてください。

オススメの過去問

私が実施に使った過去問を下記でご紹介します。よかったら、リンク先から内容を確かめてみてください。

TOEICについては、正確に言うと過去問ではありません。ただ、試験実施機関が公表している公式問題集ですので、ほぼ過去問と同じように扱うことができると思います。

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TOEIC

英検1級

おわりに

いかがでしたでしょうか。

私の失敗を他山の石として、ぜひ試験対策にお役立ていただければ嬉しいです。